粒だった光の波が樹かげで身を寄せ合うのを
立ちつくしたわたしの影は鋭くさえぎる
ひときわ濃い影が鏡のように立ちはだかり
暗い輝きで光のなかをひれのように泳がせる
甘やかな午後は隔てなく草花をいつくしみ
深い森は葉むらを揺らしながらせせらぐ
春のきざしはやがて小さな礫になって
光の矢に乗ってさまざまな形の影をつらぬく
立ちつくしたわたしの影も例に漏れなく
右手 左手 両足とはりつけにされる
やがて影はぐらぐら重心をくずし
案山子のようにばたんと倒れた
そこでわたしは影に向かって寝っ転がった!
影は倒れたわたしの肌を縫うように触れてきて
慎み深い春のしとねが微睡みをくすぐり
わたしはうとうと眠り込んだ