色づいた音感が
獣のような波濤を拾う
白い指でならなんにでもさわれた
渦を巻く潮目にも
祈りはどこまでも白く
悪意はどこまでも透明だから
ふたつは簡単に混ざり合う
血の通った言葉のように
鮮やかな傷口はだれのことも盲にさせる
黙らされた人々は足ぶみを心臓に刻む
誓いはやがて鋭い刃になって
遠くのものまで切りつける
少しずつ死んでいるわたしたちはだれかのことも少しずつ死なせていく
ささくれた戸惑いが人を試す心を甘やかに誘い込む
無害でも人を傷つけられるわたしのなかのわたし
さわるから傷つけたのに