2025-03-16 憧れの花 詩 薄暗い手を握り返し 虚ろな葦を眺め渡す きみには 古い憧れが咲く 絡めた指から熱が伝わる 体温を乗せた言葉を 交わすきみの唇を見つめ 呼吸の足並みをそろえる 純潔の夜が幾度もなくやってきて ふたりぼっちの美しさを知る 水のような月の光を浴びながら 細い眼の所以(ゆえん)を躊躇いたがる わたしたちの代わりに眠る街は 冷たい蛍光の瞼を瞬かせる 蛇に唆されたふたりはいない 顔の赤みだけが果実と似る