〈わたし〉という聖なる受け皿に
生の神酒をなみなみとそそぐことができたのなら
淡く透明な首に縄を添えることもない
審判は含ませた口の舌触りでわかる
鋭敏な精神は受け皿を突き破りかねない
支えていた自己は破れ目に取って代わる
だれかの土足しかあいかわらず穴に吸い込まれなくて
踏みしだかれた肌から泥のような根が咲く
古い花はむずかしいから一向に咲かない
大地の聡い涙を吸って一筋に根は伸びる
途中で曲がりくねったりもする
けれども粒だった土に抱かれて眠るから歪みはしない
さかしまに青い根が伸びる
葉をつける
柔らかな息を吹き返していた
蕾が