昏き侮りの腕が仄白き精神病者の
体躯を貪るように抱きしめ
かれらは微睡んだ両眼を指で覆いながら
波濤のように叫びつづける
病衣を粗く纏った鼠は健全な肉体を目ざとく嗅ぎ取り
足下の爪からひたすら物憂げに齧ろうとする
傷口から湧き出る黒い血こそが
われら狂気の血胤なのだ
跪いてその黒い血を舐め取る者が訪れたとき
なんという狂気がわれらを襲うだろう
その出で立ちはどこもかしこもちぐはぐで
だれからみても継ぎ接ぎの知能でしか目を泳がせていない
舐め取る口から雪解け水の涎がこぼれるとき
われらは烈しい恐怖を覚えるだろう
同じつばで歯を浸した者どもよ
汝らの慈悲をわたしは乞えるのか?