雛鳥が浚った軽蔑の黒い眼差しはわれわれの怯懦を泡立たせ
ひび割れた殻から覗いた嘴は斥けた幼稚さをあどけなくついばむ
花のような無垢な口角は滑り寄った邪悪をやさしく求めながら割れた根元から溢れ落ち
飛べない翼膜は白い眠りを湛えながら熱っぽい砂漠のめざめを強盗のように待つ
濡れそぼった躰は示し合わせたように同胞との羊水を秘部へ塗りたくり
畸形の突き出た頭蓋は惑わされた正しさなど意に介さず餌を頬張りつづける
祖先のかたちにはけして届かないと知りながら
われわれは再び眼差しに還るだろう