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Reminder / ToDo

2024-12-01 The time and my time are out of joint. Do you have any time?

516.hateblo.jp

 この世のイカれ具合を耳元でたしかめていたら自分の頭の関節が外れてしまった。幸いにして最悪なのは、私が正気を保っていると自認していることを私自身がこれは病気ではないのかと疑える狡猾さぶりも持ち合わせてしまっていることだろう。健常者のふりも病人のふりもできない人間は、仮病すらできない!

 今の私は狂いながら正気であり、傍から見れば他人と意思疎通のできるイカれ野郎ということになるだろう(もしかすると「お得」なのだろうか? どうやらお得とはスーパーでもっとも評価されるべき偉大な観点らしい)。たとえば、統合失調症は自分が病気であることを自覚できない病識のない病気のことではなかったのだろうか?

 私は上半身ではつとめて落ち着きつつも、下半身では身の毛がよだつ膝を哄笑させながら大変動揺していると言わざるを得ない。半分に割ったコインの表と裏をそれぞれ反転させて縫合したら、それはもうコインではあれど両面に裏表が刻まれたコインではないだろうか? これこそ表裏一体!

 そんな御託はいい。もう本当にどうでもよくなってしまった。皆々様、どうか肩の筋肉でもほぐしつつあなただけのリラクゼーション音楽でもかけながら私の生硬な主張でも聞いてはいただけないか。そうでもしないと、私の言いたいことなどあなたの喉元に流し込んだとていつまでも突っかかってしょうがないだろう!

 現時点で頭の中のアイデアがとにかく留め処なく尽きてくれなくて本当に困ってしょうがない。なにかにつけ現実の物体らを見掠めるだけで屈託のなく心地よい表情を湛えた想像力の奔流に圧倒されてしまう。それは特に悪いイメージではなく、被害妄想でもなく、幻聴でもなく、幻覚でありさえしない! 挙げ句の果てはことごとく絶句でしかありえないのだろうか?

 おい! いったいどういうことなんだろう? 私は自分が狂っているのではないかとたしかめられる謙虚さがあるし、自分が正気だと信じようとすることができる勇気すらあるぞ! 私は自分の発言が狂気的であると相手が受け止めたかもしれないと予想できるような卑劣さもあるし、自分の発言が良識を持って口にしただろうと気づいてしまったかもしれない傲慢さはもちろんこの胸にしかと受け止めている。はて……? およそ人間と呼べるような野暮ったさと大罪のいくつかはわが臓腑とともにぎっしりと革鞄にぶら下げているはずなのだけれど……。

 とにかく忍耐が肝腎だ。できることなら、軽業のような忍耐が好ましい。しかし、いくら忍耐したところで詮無いのはいまいましい。

 ところであなたはここまで私の文章をその目で撫で回していけているだろうか? もしその高く透き通った耳をそばだてていただけているというのなら、私は狂気の世界にあなたを招き入れてしまったと誰かに見咎められてしまうのだろうか? ひょっとすると、私の文章が読めているということは、僭越ながら狂人らしきものである私のことをうっかり理解すらできてしまうことになるのではないだろうか?

 その場合、ずいぶんと困ったことになったかもしれない。みずから臨んで吊るされた私はともかく、ひとかどの罪であなたまで狂人だとさかしまに裁判で誹られないか私は非常に気がかりだ。

 けれど、もしも訴訟されたとしても──もちろんあなたが本当に望むならの話だが──私はあなたのことを完膚なきにまで常人だと擁護するつもりなので、その点についてはご安心していただきたい。

 もっとも、狂人なのか常人なのかどうかすらもわからない人間に擁護される気分というのは、なんとなく不安で、いやに鼻につき、どうも薄ら寒く、なによりおぞましい! 資格も資質も剥奪されているのに、人間一般の弁護などはたして本当にできるのだろうか? たとえば、たまたま殺人を犯さなかっただけの弁護士ムルソーは殺人罪の被告を弁護するやいなや?

 どうしてこうなった?

 なにもわからない。気づいたらこうなっていた。

 どうすればよかった?

 どうしようもなかった。

 私は私の生を本当に引き受けないといけないのか?

 然り。

 いったい個人の生をなんだと思っているのだろうか? 

(無拍子)